マウス腱鞘炎の対策|痛む場所で見分ける手首・指の負担と、置き方・マウス選び・休み方

マウス腱鞘炎の対策

マウス腱鞘炎の対策は、腕を机で支えて手首の横曲げを減らすことと、手に合うマウスを使い、1時間ごとに手を休めることです。手首の親指側の痛みや指のしびれが続くなら、整形外科で相談してください。

この記事でわかること

  • 「マウス腱鞘炎」で痛みが出やすい手首・指の場所と、考えられる状態
  • 厚生労働省のガイドラインに沿ったマウスの置き方と姿勢
  • 縦型マウスやトラックボールを痛む場所で選ぶ考え方
  • ポインタ速度やショートカットでクリックと移動を減らす設定
  • 1時間ごとの休み方と、整形外科に相談したい目安

公的情報源: 厚生労働省 情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン/日本整形外科学会 症状・病気をしらべる

この記事の要点

  • 「マウス腱鞘炎」は総称。痛む場所で考えられる状態が違う
  • 前腕を机やひじ掛けで支え、手首を小指側へ曲げたまま使わない
  • マウスは手に合う形と大きさを選び、ポインタ速度も手に合わせる
  • 腫れ・しびれ・指の引っかかりが続くなら、自己流で我慢しない

1日中マウスを握っていると、夕方には手首や人差し指がじんわり痛む。在宅ワークでノートパソコンとマウスだけで働いていると、よくある悩みです。

マウスによる手の痛みは、置き方と道具と休み方でかなり変えられます。ただ、痛む場所によっては病気が隠れていることもあるので、まず場所の見分けから始めます。

  1. 痛む場所で見分ける手首・指のトラブル
  2. マウスで手首や指が痛くなる理由
  3. マウスの置き方と姿勢を整える
  4. 痛む場所に合わせてマウスを選ぶ
  5. 設定でクリックと移動を減らす
  6. 1時間ごとの休み方と受診の目安

目次

マウス腱鞘炎とは?痛む場所で見分ける手首・指のトラブル

「マウス腱鞘炎」は病名ではなく、マウスやキーボードの使いすぎで手首や指が痛む状態をまとめた呼び方です。痛む場所によって、考えられる状態が変わります。

日本整形外科学会の「症状・病気をしらべる」をもとに、デスクワークで話題になりやすい3つの状態を並べました。自分で診断するためではなく、受診先で症状を伝えるときの手がかりとして使ってください。

痛む場所と考えられる状態(日本整形外科学会の解説より)

痛む・しびれる場所考えられる状態主な特徴
手首の親指側ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)親指を広げたり動かしたりすると強く痛む。手をよく使う職業の人もなりやすい
指の付け根ばね指(弾発指)付け根の痛み・腫れ・熱っぽさ。進むと指が引っかかる。朝に症状が強いことが多い
親指〜薬指のしびれ手根管症候群人差し指・中指から始まるしびれと痛み。明け方に強く、手を振ると楽になる

手根管症候群は腱鞘炎ではなく、手首で神経が圧迫されて起きる状態です。しびれがある場合は、痛みだけのときと分けて考える必要があります。

マウスで痛みが出たときの見分け方

  • どこが、どう痛むかで考えられる状態が分かれる。受診のときに伝える手がかりにする
    • 手首の親指側が痛む親指を動かすと強く痛む。ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)が考えられる
    • 指の付け根が痛む・引っかかる付け根の痛みや腫れ、指の引っかかり。ばね指が考えられる
    • 指がしびれる親指〜薬指のしびれ、明け方に強い。神経の圧迫による手根管症候群が考えられる

図:痛みだけか、しびれがあるか、どこが痛むかで考えられる状態が変わる

出典:日本整形外科学会 ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)/同 ばね指(弾発指)/同 手根管症候群

マウスで手首や指が痛くなる理由

マウスで手が痛くなる理由は、同じ手の形を長い時間続けることにあります。厚生労働省の情報機器作業ガイドラインの解説から、姿勢と痛みの関係を拾うと次のとおりです。

  • 腕や手首を乗せる支えがないと、肩のこりや痛みが増える
  • 手の側屈(手首を小指側へ曲げる角度)が大きいと、腕の疲れや痛みが増える
  • 頭の前傾が大きいと、首のこりや痛みが増える

ドケルバン病について、日本整形外科学会は親指の使いすぎによる負荷を原因に挙げています。負荷で腱鞘が厚くなったり、腱の表面が傷んだりするという説明です。手をよく使う職業の人がなりやすい、とも書かれています。

マウスを握ったまま、手首を小指側にひねった状態で何時間もクリックを続ける。これが、手首や指に負担が積み重なる典型的な形です。

出典:厚生労働省 情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインと解説

マウス腱鞘炎の対策① 置き方と姿勢を整える

最初に見直したいのは、マウスの置き場所と腕の支えです。道具を買い替える前にできて、費用もかかりません。

ガイドラインの解説が好ましい姿勢として挙げるのは、上腕と前腕の角度を90度以上にすること。キーボードに自然に手が届く形です。マウスも同じで、腕を伸ばしきらずに届く位置が基本になります。

マウスの置き方を整える順番

  • 道具を替える前に、置き方と姿勢をどう直すか
  • 1椅子の高さを合わせる深く腰かけ、足裏全体を床につける。ひじの角度が90度以上になる高さに
  • 2マウスを体の近くに置くキーボードのすぐ横。腕を前に伸ばしきらずに届く位置
  • 3前腕を支える机の上やひじ掛けに前腕を乗せ、手首だけで支えない
  • 4手首をまっすぐに近づける小指側へ曲げたまま使わない。マウスの向きや位置で角度を減らす
  • 5軽く握る力を入れて握り込まない。クリックも軽く

情報機器作業ガイドラインの「上腕と前腕の角度90度以上」「支えがないと肩のこりが増える」「手の側屈が大きいと腕の痛みが増える」を置き方に当てはめた手順

図:椅子→マウスの位置→前腕の支え→手首の角度の順に直すと、道具を替えずに負担を減らせる

ノートパソコンとマウスだけで作業していると、画面をのぞきこんで前かがみになりがちです。小型のノート型機器で長く作業するなら、外付けキーボードを使うのが望ましいとガイドラインは書いています。

机まわりの姿勢づくり全体は、在宅ワーク疲れ対策グッズの選び方で扱っています。肩こりが一緒に出る人は肩こり解消グッズの比較も参考になるはずです。

マウス腱鞘炎の対策② 痛む場所に合わせてマウスを選ぶ

マウスは、ガイドラインにあるとおり手に適した形と大きさで、持ちやすいものを選びましょう。そのうえで、痛む場所で型を考えると失敗が減ります。

マウスの型ごとに、手のどこを多く使うかが違うためです。自分がどこに負担を感じているかと合わせて選んでください。

マウスの型と、手の使い方の違い

型手の使い方向きやすい人気をつけたいこと
手の大きさに合う標準型手首と指で動かすまず買い替えるなら小さすぎると指先に力が入る
縦型(バーティカル)握手に近い形で握る手首を小指側へ曲げがちな人慣れるまで細かい操作に時間がかかる
トラックボール(親指で転がす)本体は動かさず親指を使う手首を動かすと痛む人親指を多く使うので、親指側が痛む人は試してから
トラックボール(人差し指・中指で転がす)指先で玉を転がす親指を休ませたい人指の付け根が痛む人は様子を見ながら
タッチパッド指でなぞるマウスと交互に使いたい人手首を反らせたまま使わない

型を替えるときは、慣れるまで今のマウスと併用しましょう。手への負担が偏りにくくなります。買う前に家電量販店などで握ってみて、手の大きさに合うかを確かめると安心です。

マウス腱鞘炎の対策③ 設定でクリックと移動を減らす

手の負担は、マウスを動かす距離とクリックの回数でも変わります。パソコンの設定を少し変えるだけで、どちらも減らせるはずです。

ガイドラインが求めているのは、ポインタの速度を作業する人の技能や好みに合わせて調整すること。多くの機器では、ダブルクリックのタイミングも変えられるそうです。

  • ポインタの速度:少し速めにして、手首を大きく振らなくても画面の端まで届くようにする
  • ダブルクリックの間隔:ゆっくりでも反応するように調整し、力んで連打しない
  • ショートカットキー:コピー・貼り付け・ウィンドウ切り替えなど、よく使う操作をキーボードに移す
  • マウスのボタン割り当て:付属ソフトで「戻る」などを割り当て、画面上の移動を減らす

速度を上げすぎると、今度は細かい操作で指先に力が入ります。数日かけて、手首を大きく動かさずにすむ速さを探してください。

マウス腱鞘炎の対策④ 1時間ごとに手を休める

手の痛みを防ぐには、連続して使う時間に区切りを入れることも欠かせません。情報機器作業ガイドラインは、1回の連続作業を1時間までとし、次の作業までに10〜15分の休止をとるよう示しています。

連続作業の途中には、1〜2分程度の小休止を1〜2回。休止は休憩時間とは別で、遠くを見たり体を動かしたりするための時間という位置づけです。

痛みが出る前と、出てからの手の休め方

痛みが出る前(予防)
休止
連続作業は1時間まで。10〜15分はマウスから手を離す
小休止
途中で1〜2分、手を軽く握って開く・肩を回す
仕事の組み方
電話や資料読みなど、マウスを使わない作業を間に挟む
痛みが出てから(悪化させない)
休ませる
痛む指や手首を使う時間を減らす。日本整形外科学会も保存療法の最初に局所の安静を挙げる
無理に伸ばさない
痛みが出るストレッチやマッサージは続けない
相談する
腫れ・しびれ・指の引っかかりがあれば整形外科へ

図:予防は休止と小休止、痛みが出てからは安静と相談を優先する

ガイドラインは、仕事の前後や途中に体操やストレッチ、軽い運動を行うことも望ましいとしています。手を軽く握って開く、手首をゆっくり回すといった動きは、痛みの出ない範囲にとどめてください。

マウス腱鞘炎で受診を考えたい目安

置き方や休み方を変えても痛みが引かないときは、整形外科で相談してください。日本整形外科学会によると、ドケルバン病やばね指の治療は局所の安静・投薬・腱鞘内への注射などから始まります。改善しなければ、手術も検討されます。

次のような状態は、自己流の対策で様子を見続けないほうがいいサインです。

こんな状態考えたい対応
手首や指の腫れ・熱っぽさがある早めに整形外科へ
指がしびれる、明け方にしびれで目が覚める痛みと分けて相談する
指を曲げ伸ばしすると引っかかる整形外科で診てもらう
休んでも数週間痛みが続く受診して原因を確かめる

ガイドラインの解説によると、筋骨格系の病気は検査の所見より自覚症状が先に出ることが多いそうです。「まだ大したことはない」と思えるうちに相談したほうが、仕事を止めずにすむ場合もあります。

よくある質問(FAQ)

Q1:マウス腱鞘炎はどこが痛くなりますか?

痛みが出やすいのは、手首の親指側、指の付け根、手首から指先にかけてです。日本整形外科学会の解説では、手首の親指側ならドケルバン病、指の付け根ならばね指が考えられます。しびれがある場合は手根管症候群のこともあるため、痛みだけのときと分けて相談してください。

Q2:マウス腱鞘炎の治し方はありますか?

日本整形外科学会の解説では、ドケルバン病やばね指はまず局所の安静や投薬、腱鞘内への注射で治療します。改善しなければ手術も検討される、という流れです。自己流で我慢せず、痛みが続くなら整形外科で相談してください。

Q3:縦型マウスは腱鞘炎の対策になりますか?

縦型マウスは握手に近い形で握るため、手首を小指側へ曲げがちな人には向きやすい型です。ただし慣れるまでは細かい操作に時間がかかります。今のマウスと併用しながら、手に合うかを確かめてください。

Q4:トラックボールは手首にやさしいですか?

本体を動かさずに操作できるため、手首を動かすと痛む人には候補になります。ただし親指で転がす型は親指を多く使います。親指側の手首が痛む人は、人差し指で転がす型も含めて試してから選ぶと安心です。

Q5:マウスを使うときは何分おきに休めばいいですか?

厚生労働省の情報機器作業ガイドラインでは、1回の連続作業を1時間までとし、10〜15分の休止をとる目安が示されています。連続作業の途中にも、1〜2分の小休止を1〜2回とるようすすめています。

まとめ

まとめ

  • 「マウス腱鞘炎」は総称。手首の親指側・指の付け根・指のしびれで考えられる状態が違う
  • 前腕を机やひじ掛けで支え、手首を小指側へ曲げたまま使わない
  • マウスは手に合う形と大きさを選び、型は痛む場所に合わせて試してから決める
  • ポインタ速度とショートカットで、手首の移動とクリックを減らす
  • 連続作業は1時間まで。10〜15分の休止と1〜2分の小休止を入れる
  • 腫れ・しびれ・指の引っかかりが続くなら、整形外科で相談する

マウスによる手の痛みは、毎日の置き方と休み方の積み重ねで変わっていきます。まずは今日、マウスをキーボードのすぐ横に寄せて、前腕を机に乗せてみてください。気になる症状があれば、自己判断せず医師に相談してください。

※本記事は厚生労働省の情報機器作業ガイドラインや日本整形外科学会の解説などの公的情報をもとに整理したもので、診断・治療を目的としたものではありません。手首や指の痛み・しびれ・腫れが続く場合は、自己判断せず整形外科などの医療機関を受診してください。

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この記事を書いた人

都内のIT企業で働く34歳、デスクワーク10年で万年の肩こりと眼精疲労と付き合っているMasaharuです。健康の情報を検索すると、専門家の理論的な解説か、企業のPR記事ばかりが出てきます。「同じような会社員が自腹で買って、本当に良かったのか」を書いた記事が、なぜか見つかりませんでした。

だったら自分で書こうと思い、これまでにマッサージガンやストレッチポール、青汁、整体、姿勢矯正イスなど、100点以上を自腹で試して記録してきました。続けられたものもあれば、3日でやめたもの、お金を無駄にしたものもあります。理屈より、使ってみた実感を大事にしています。このサイトでは、その検証ログを本音でまとめています。気になる症状や持病がある場合は、かかりつけ医に相談してみてください。

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