家庭用血圧計の選び方は、日本高血圧学会がすすめる上腕式を基本にすることです。そのうえで腕周りに合うカフと、朝晩2回ずつの記録を残せる機能で絞ると失敗しにくくなります。家庭血圧は135/85mmHg以上が注意の目安です。
この記事でわかること
- 日本高血圧学会が上腕式の血圧計をすすめている理由と、手首式との違い
- 買う前に確認したい腕周り(カフ)サイズの測り方
- 学会の測り方から逆算した、本当に使う記録機能
- 朝晩の正しい測り方と、家庭血圧135/85mmHgの読み方
- 白衣高血圧・仮面高血圧の見分け方と受診の目安
公的情報源: 日本高血圧学会「家庭で血圧を測定しましょう」/日本高血圧学会「高血圧の10のファクト」
この記事の要点
- 家庭用は上腕式が基本。学会のパンフレットも上腕血圧計を選ぶよう書いている
- カフは自分の腕周りが「適応腕周」の範囲に入るものを選ぶ
- 朝晩2回・週5日以上測るなら、記録と平均の機能があると続けやすい
- 家庭血圧135/85mmHg以上が続くなら、記録を持って受診する
健康診断で血圧を指摘されて、家でも測ってみようと思ったものの、売り場には形も値段もさまざまな血圧計が並んでいます。どれを選べばいいのか迷う人は多いはずです。
選ぶ基準は、実は学会の「測り方」の中にそろっています。測り方から逆に考えると、必要な機能と要らない機能がはっきりするはずです。
- 家庭で血圧を測るとわかること
- 上腕式・手首式の違いと選び方
- 腕周り(カフ)サイズの合わせ方
- 学会の測り方から逆算する記録機能
- 家庭血圧の正しい測り方
- 数値の読み方と受診の目安
家庭用血圧計でわかること|白衣高血圧と仮面高血圧
家庭で血圧を測ると、病院の血圧だけではわからない「ふだんの血圧」が見えてきます。日本高血圧学会も、家庭血圧の測定を推奨している立場です。
学会のパンフレット「家庭で血圧を測定しましょう」によると、家庭血圧135/85mmHg以上は危険な高血圧。脳卒中や心筋梗塞にかかる率を2〜3倍にも増やすとされます。しかも高血圧は、あってもほとんど症状が出ません。
家庭血圧を測ると、次のように血圧のタイプを分けられます。
家庭血圧と診察室血圧で分かれる4つのタイプ
- 家庭血圧が135/85mmHg以上かどうかと、診察室の血圧が高いかどうかの組み合わせで分かれる
- 正常血圧家庭も診察室も高くない。今のところ問題なし
- 白衣高血圧診察室だけ高く、家庭は正常。今のところ問題はないが、将来の持続性高血圧に備えて定期的に受診
- 仮面高血圧診察室は正常なのに家庭が高い。家庭で測らないと見逃される。危険度は持続性高血圧と同じかそれ以上
- 持続性高血圧家庭も診察室も高い。治療の開始や見直しが必要
図:家庭血圧を測ると、診察室だけではわからない仮面高血圧が見つかる
注目したいのは仮面高血圧です。健診の数値は正常でも家庭では高いタイプで、家庭血圧を測っていなければ見逃されてしまいます。危険度は持続性高血圧と同じかそれ以上、というのが学会の見方です。
健診の結果票の読み方は健康診断の数値の見方と下げ方をどうぞ。
出典:日本高血圧学会 家庭で血圧を測定しましょう(パンフレット)
血圧計の選び方① 家庭用は上腕式が基本
家庭用血圧計を選ぶなら、まず上腕式から考えるのが基本です。日本高血圧学会のパンフレットは、家庭血圧の測り方の最初に「上腕血圧計を選びましょう」と書いています。
家庭用の血圧計は、腕に巻く上腕式と、手首に巻く手首式が主流です。上腕式にも、カフを自分で巻くタイプと、筒に腕を通すタイプがあります。
家庭用血圧計のタイプ別の特徴
| タイプ | 向いている人 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 上腕式(カフを巻く) | 初めて買う人・価格を抑えたい人 | 巻く位置と強さを毎回そろえる |
| 上腕式(腕を通す) | カフを巻くのが苦手な人 | 本体が大きく置き場所が要る |
| 手首式 | 上腕で測りにくい人・持ち運びたい人 | 手首を心臓の高さに合わせる必要がある |
手首式は軽くて持ち運びやすい反面、手首の高さが心臓とずれると数値が変わりやすい点に注意がいります。医師に記録を見せることが目的なら、学会のすすめる上腕式を選んでおくと安心です。
血圧計のタイプを決める順番
- 上腕式と手首式、どちらを選ぶか
- 1上腕式を第一候補にする日本高血圧学会のパンフレットは「上腕血圧計を選びましょう」としている
- 2腕周りが合うか確かめる仕様表の「適応腕周」に自分の腕周りが入るか。合わなければ別サイズのカフを探す
- 3巻きにくければ腕を通すタイプカフを片手で巻くのが難しい人は、腕を通すタイプも候補になる
- 4上腕で測れないときに手首式手首を心臓の高さに合わせて測る。記録は上腕式と混ぜない
医師に記録を見せるなら、同じ血圧計・同じ腕で測り続けることが前提になる
図:上腕式を基本に、腕周りと巻きやすさで絞り、上腕で測れないときだけ手首式にする
スマートウォッチにも血圧に関わる機能をうたう製品がありますが、測定方式や位置づけは製品ごとに違います。受診に使う記録は、上腕式の血圧計でとっておくのが確実です。スマートウォッチの機能全般は健康管理スマートウォッチの選び方でまとめています。
血圧計の選び方② 腕周り(カフ)サイズの合わせ方
上腕式を選ぶときに見落としやすいのが、カフ(腕帯)のサイズです。血圧計の仕様表には、そのカフで測れる腕周りの範囲が「適応腕周」として書かれています。
自分の腕周りが範囲から外れると、正しく測れないおそれがあります。買う前に、メジャーで一度測っておきましょう。
- 測る場所:力を抜いた状態で、肩とひじの中間あたりの腕周り
- 測る腕:ふだん血圧を測るほうの腕
- 確認する表記:仕様表の「適応腕周 ○〜○cm」に入っているか
- 範囲外のとき:太い腕用・細い腕用のカフが別売りされているか確認
家族で使い回す場合は、腕のいちばん細い人と太い人の両方が範囲に入るかを確かめます。範囲の広いカフを採用した機種もあるので、仕様表を見比べるのが近道です。
血圧計の選び方③ 学会の測り方から逆算する記録機能
記録機能は、学会の測り方を続けるのに必要な分だけあれば十分です。朝晩それぞれ原則2回測り、週5日以上の結果を主治医に見せる、というのが学会のすすめる測り方でした。
この測り方を続けると、1週間で最大20回以上の測定値がたまります。何を記録できれば困らないかを、測り方から逆算すると次のようになります。
学会の測り方と、あると続けやすい機能
| 学会の測り方 | 必要になること | あると便利な機能 |
|---|---|---|
| 朝と晩に測る | 朝と晩を分けて残す | 朝・晩を区別して記録できるメモリー |
| 1機会に原則2回測り平均する | 2回の平均を出す | 平均値を自動で出す機能 |
| 週5日以上の結果を主治医に見せる | 数週間分を見返す | 記録回数の多いメモリー・スマホ転送 |
| 同じ条件で測り続ける | 巻き方や姿勢をそろえる | カフの巻き方チェック・体動の通知 |
メモリーの回数は機種で差があるので、1週間に20回前後たまる前提で選ぶと困りにくいはずです。スマホに転送できる機種なら、グラフで週ごとの変化も見やすくなります。
一方、紙の血圧手帳に書き写す運用でも問題ありません。大事なのは続けて記録することなので、自分が面倒に感じない方法を選んでください。
家庭血圧の正しい測り方|朝晩2回・週5日以上
家庭血圧は、毎回同じ条件で測ることで比べられる数値になります。日本高血圧学会がパンフレットで示している測り方は次のとおりです。
日本高血圧学会がすすめる家庭血圧の測り方
- 朝と晩、どのタイミングで何回測るか
- 1朝:起床後1時間以内トイレを済ませ、朝食の前・薬を飲む前に測る
- 2晩:就寝の直前寝る前の決まったタイミングで測る
- 3椅子に座って1〜2分待つ測る前にトイレを済ませ、1〜2分座って落ち着いてから
- 41回の機会に原則2回測る2回測って、その平均をとる
- 5週5日以上の結果を主治医へ記録をためて、受診のときに見せる
出典:日本高血圧学会「家庭で血圧を測定しましょう」
図:朝は起床後1時間以内、晩は就寝直前に、座って1〜2分待ってから2回測る
朝の測定は「起床後1時間以内・朝食前・服薬前」、晩は「就寝直前」です。どちらも、トイレを済ませて1〜2分椅子に座ってから測ります。1回の機会に原則2回測り、その平均を記録します。
測るたびに条件がばらつくと、数値の上下が体の変化なのか測り方の差なのかわかりません。同じ腕・同じ姿勢・同じ時間帯を決めておくと、比べやすい記録になります。
家庭血圧の数値の読み方と受診の目安
家庭血圧で目安になるのは、上の血圧135mmHg以上、または下の血圧85mmHg以上です。学会のパンフレットでは、家庭血圧がこれ以上なら高血圧のタイプに当たるとして受診をすすめています。
家庭血圧と診察室血圧の組み合わせで考える対応
| 家庭血圧 | 診察室血圧 | タイプ | 学会パンフレットの対応 |
|---|---|---|---|
| 135/85未満 | 高くない | 正常血圧 | 今のところ問題なし |
| 135/85未満 | 高い | 白衣高血圧 | 定期的に検診・検査を受ける |
| 135/85以上 | 高くない | 仮面高血圧 | すぐに治療または治療の変更が必要 |
| 135/85以上 | 高い | 持続性高血圧 | すぐに治療または治療の変更が必要 |
すでに治療中の人の目標は別に決められています。日本高血圧学会は2025年8月に「高血圧管理・治療ガイドライン2025」を発刊しました。降圧目標は年齢によらず診察室130/80mmHg未満、家庭125/75mmHg未満です(日本栄養士会の紹介記事より)。
目標の数値は、持病や年齢によって医師が調整することもあります。自分の目標がいくつかは、主治医に確認してください。
生活面では、学会の「高血圧の10のファクト」が、高血圧の人は食塩を1日6g未満にすることをすすめています。脳卒中の予防とあわせて見直すなら、脳梗塞の予防のチェック表も参考になります。
出典:日本高血圧学会 家庭で血圧を測定しましょう/日本高血圧学会 高血圧の10のファクト/日本栄養士会 高血圧管理・治療ガイドライン2025を発表
よくある質問(FAQ)
Q1:家庭用の血圧計は上腕式と手首式のどちらがいいですか?
上腕式が基本です。日本高血圧学会のパンフレットにも、家庭血圧を測るなら上腕血圧計を選ぶよう書かれています。手首式は持ち運びやすい反面、手首を心臓の高さに合わせないと数値が変わりやすい点に注意してください。
Q2:血圧計のサイズはどう選べばいいですか?
肩とひじの中間あたりの腕周りをメジャーで測り、仕様表の「適応腕周」に入る機種を選びます。範囲から外れる場合は、太い腕用・細い腕用のカフが別売りされているか確認してください。
Q3:家庭血圧は1日何回測ればいいですか?
朝と晩の1日2回の機会に、それぞれ原則2回測って平均をとります。朝は起床後1時間以内・朝食前・服薬前、晩は就寝直前が目安です。週5日以上の結果を主治医に見せるよう、学会はすすめています。
Q4:家庭血圧はいくつ以上だと高血圧ですか?
上の血圧135mmHg以上、または下の血圧85mmHg以上が目安です。日本高血圧学会は、家庭血圧135/85mmHg以上は脳卒中や心筋梗塞にかかる率を2〜3倍に増やすとしています。続くようなら記録を持って受診してください。
Q5:病院では高いのに家だと正常です。問題ありませんか?
白衣高血圧と呼ばれるタイプで、学会のパンフレットでは今のところ問題はないとされています。ただし将来、持続性高血圧になるおそれもあるため、定期的に受診して検査を受けるようすすめています。
まとめ
まとめ
- 家庭用血圧計は上腕式が基本。日本高血圧学会のパンフレットも上腕血圧計をすすめている
- 買う前に腕周りを測り、仕様表の「適応腕周」に入るか確認する
- 朝晩2回・週5日以上の測り方に合わせ、記録と平均の機能があると続けやすい
- 朝は起床後1時間以内・朝食前・服薬前、晩は就寝直前。座って1〜2分待ってから測る
- 家庭血圧135/85mmHg以上が続くなら、記録を持って受診する
- 治療中の目標は家庭125/75mmHg未満(JSH2025)。個別の目標は主治医に確認
血圧計は、買ってからの測り方で価値が決まる道具です。まずは1週間、朝晩の記録をつけてみてください。数値や体調で気になることがあれば、自己判断せず医師に相談してください。
※本記事は日本高血圧学会の公開資料などの公的情報をもとに整理したもので、診断・治療を目的としたものではありません。血圧の目標値や治療は、年齢や持病によって医師が判断します。服薬中の方は、自己判断で薬の量や飲み方を変えないでください。気になる数値や症状がある場合は、医療機関を受診してください。

